スカウト・オファーの検討
概要
コグナビにおける、スカウトとオファーの検討です。
スカウトとオファーは明確な定義をしておらず、「企業からのダイレクトアプローチ」的な意味で使っています。
前回のミーティングで『「気になる」からの転換を企業からのアプローチによって行う』という話がありましたので、詳細検討を行います。
スカウトの構造的問題
求人サービスに付帯しているスカウト機能は、多くのケースで構造的な問題を抱えています。具体的には、企業がスカウトへの応募を増やそうとするため、より多くのスカウトを送信する行動を取る点です。こうした動きが起こると、他の企業も応募数を確保するために、さらに多くのスカウトを送らざるを得なくなります。
スカウトの流通量が増えるにつれて、求職者のスカウトへの関心は低下し、一応募を獲得するために必要なスカウトの数はどんどん増えていきます。その先にあるのは、最終的にダイレクトアプローチからの応募総数が減少してしまうという状況です。
これは「コモンズの悲劇」と呼ばれる経済学の概念で、個々の最適化行動(たくさん送る)が、全体最適(高い反応率)をむしろ破壊してしまう現象を指します。
コモンズの悲劇(コモンズのひげき、英: tragedy of the commons)とは、多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうという経済学における法則。共有地の悲劇ともいう。
課題・懸案事項
「スカウトの歯止めのない流通増」が問題ではありますが、この構造的な問題を、スカウトの送信通数で解決しようとするのは難しいと考えています。
そもそも、送信主体が企業であれ営業であれ、スカウト送信量が増加するのは「応募効果が少ない」からであり、スカウトの流通量を制限したとしても、応募効果が目標値に達していない状況は、何かしらのクレームやサイトのハックが行われることになります。
いわゆるスカウトの構造的な問題というのは、
- 応募効果が少ない状況で、
- かつ応募の改善策がスカウトしか存在しない
という状況で起こることになります。
応募効果が一定以上あったり、応募の改善策がスカウトよりも有効な施策があるならば、スカウト送信数が急増しないと思われます。
スカウト改善の施策案
よりよいスカウト環境を実現するための施策案です。
1. スカウト流通量を制限する
スカウト流通量の制限は必要です。送信上限を設けないと一部のプレイヤーに場が荒らされてしまう可能性があります。
前提として送信数の上限を設け、その範囲でスカウト送信を行ってもらいます。
2. 応募効果を高めて、スカウト依存から脱する
通数制限だけでは「応募が少ない」という本質課題は解決できないため、通常の応募を改善させる必要があります。
これは先日まで検討していた内容がその範疇ですが、とにかく応募数を増やす必要があります。
※20251118_全般的な課題感整理参照
3. 「気になる」からの転換をスカウト以外の方法で
「訪問→気になる→エントリー」をメインの動線とするならば、「気になる」からの転換をスカウトといった形で、メインの動線の一部を企業に委ねるのは危険です。
例えば
- 気になるを押した後に「気になる企業を忘れないうちにエントリーしませんか?」というアラートを表示する
- 未エントリーの気になるが一定貯まったら、一括エントリー案内を表示。定期的に未エントリーの消化を行う
- 未エントリー気になるは、定期的にメールで一括応募可能なURLを送信する。
- その他
4. 応募向上のオプションを用意する
可能ならば、いくつかのオプションを用意する。
- コグナビがピックアップする企業(2社〜4社程度)を紹介する特集メールの送信
- 表示制御ができならば、露出率の向上
- スカウト送信枠の販売(20通いくら)
- 「いまご発注いただけるならば…」といった形でこれらは販促のために無料で提供してもいいとは思います。(無制限送信よりはいいです)
5. スカウトの質にフォーカスした評価軸を用意する(実際のところ難しいところですが)
- 返信率が高い企業が有利な設計を
- 返信率が高い企業は送信枠が増える
- 高いスカウト返信率にはスカウトにバッジをつける(人気の企業です!)
- 他
まとめ
スカウトを破綻させないためには、変更したいくつかの取り組みが必要に思います。
例えば以下のような施策でしょうか。
- スカウト通数の制限
- 通常応募の向上
- 企業に頼らないスカウトからの応募転換
- 応募向上のオプション用意
- 高返信率のスカウト優遇